はじめに
最近、相談の場でこんな声をよく聞きます。
「親が認知症になっても、銀行の代理人登録をしておけば大丈夫なんですよね?」
きっと、同じ話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
でも、私はこの言葉を聞くたびに、少し心配になります。
なぜなら――
それは 半分だけ本当で、半分は大きな誤解 だからです。
もし誤解したまま安心してしまうと、
「え?下ろせないの?」
「施設費が払えない…」
そんな現実に直面することもあります。
今日はまず、銀行の代理人制度が「何ができて、何ができないのか」を整理してみたいと思います。
なぜ誤解が広がるのか
最近、親の認知症対策を調べると「銀行の代理人制度」という言葉をよく目にします。
名前だけ聞くと、
✔ 家族が代わりに動ける
✔ 認知症でも安心
✔ 手続きも簡単
✔ 無料でできる
そんな印象を持ちやすい制度です。
でも実は、この制度は全国共通ルールではありません。
銀行の高齢者対応は、全国銀行協会の指針を参考にしていますが、あくまで「参考」。義務ではありません。
つまり、
・認知症の判断基準
・代理人に認める範囲
・出金への対応
は銀行ごとに異なります。
ここがまず、見落とされやすいポイントです。
認知症と判断されたらどうなる?
銀行は「本人の財産を守る立場」です。
もし本人の判断能力に疑いがあると判断された場合、
・ATM利用
・通帳手続き
・キャッシュカード利用
が制限されることがあります。
一定レベルの認知症と判断されると、代理人登録があっても自由に扱えなくなるケースがあります。
これは銀行が厳しいのではなく、
✔ 本人の財産を守るため
✔ 横領や詐欺を防ぐため
の対応です。
さらに重要なポイント
代理人制度は
「本人が生きている間だけ」有効です。
本人が亡くなると、
・代理人の権限は消滅
・口座は凍結
・財産は相続人全員の共有財産へ
となります。
代理人に預金を動かす権利や、相続を決める権限はありません。
ここまで読んで、どう感じましたか?
「思っていたより制限が多い」
そう感じた方もいるかもしれません。
でも、代理人制度が悪いわけではありません。
あくまでこれは、
日常のお金の管理をサポートする制度なのです。
問題は、
「これだけで全部安心」と思ってしまうこと です。
では、もし代理人制度が使えなくなったら――
生活費や施設費はどうなるのでしょうか?
その「先」を考えた備えも必要になります。
次回は、その選択肢についてお話しします。
あなたは、どこまで備えていますか?
